以前、テニス肘になったことがありました。正確な病名は「上腕骨外側上顆炎」という病気です。
それがわかったのは、床に置いてあった厚めのファイルを右手で掴んで持ち上げようとしたときです。肘の外側のあたりに強い痛みを感じました。その時は、あれ?痛いな、何だろうと思うぐらいで、なぜ痛いのか特に考えもせず、そのまま忘れて去っていました。
数日後、同じよな動作をした時にまた痛みを感じたことから、改めて何で痛いんだろうと心配し始めたのです。
ネットで「肘の痛み」というワードで検索してみると、「テニス肘」というワードが出てきました。そういえばずっと以前聞いたことがあります。ウン十年前にテニスブーム起きたころ聞いた覚えがあります。
最近テニスなんてやってないよなぁと思いつつ、自分の痛みがそのテニス肘なのか詳しく調べてみました。
目次
テニスなどのスポーツで発症
テニス肘は、腕を酷使するスポーツ、例えばテニス・ゴルフ・バトミントン・卓球などで発症しやすいとのことです。思い当たることがありました。事情があって暫くやめていたゴルフを、そろそろ再開しようかと数年ぶりに練習をしたことです。練習場での打ちっ放しと自宅での30分ほどの素振り練習を2、3回やりました。
ああ、きっとそれだと思いました。気合が入りすぎたのでしょう。準備運動もろくにせずいきなりやったのがよくなかったのか。まさかそれで肘が痛くなるなんて思いもしませんでした。
スポーツ以外でも発症
さらに調べてみると、発祥する原因はスポーツに限らないようです。肉体労働や、料理人、大工など、手や腕をよく使う職業で発症する場合があります。また、普段の日常動作でもあるそうです。重いものを持ち上げたり、重いフライパンを振ったり、雑巾を絞ったり、などです。
こんなエピソードがあります。
行きつけの床屋さんでテニス肘の話をしたら、ああ私もなりましたよと言うのです。その床屋さんはテニスもゴルフもやりません。特に思い当たる理由もなく、なかなか痛みが治らないので、整形外科で診てもらったそうです。そうしたらテニス肘との診断。原因は長年ハサミを使っていることだろうと言われたそうです。職業病ですね。
デスクワークの人が、パソコンを操作する際マウスを動かしたりキーボードで文字を打ったりなどの動作でもなり得るとのこと。これも職業病と言えるのかも知れません。
原因は?
肘にはいくつかの骨や筋肉が付いています。テニスやゴルフなど筋肉を使う動作を繰り返していると、筋肉の付着部である腱などにストレスが加わります。特に上腕骨外側上顆(肘の外側の骨の飛び出ている部分)はストレスが加わることで炎症が起きやすいそうです。この炎症により痛みが発症します。スポーツだけでなく職業などでも同じで、繰り返し行われる動作が関節に負担をかけることで発症するというわけです。
加齢も影響
また、発症には加齢も関係しています。加齢により筋力そのものが低下し、さらに腱の強度も劣化してくることで傷みやすくなります。
自分のように何年ぶりかでのゴルフ練習という場合でも、若い頃なら問題なかったのに、加齢により発症してしまうんだと思われます。
自分の古い友人もテニス肘になりました。数年ぶりに会った時にゴルフの話題になり、「実は久しぶりに練習したら肘が痛くなっちゃって」と言ったところ、その友人が「もしかしてテニス肘か?だったら俺もなったよ」というではありませんか。その友人は、何十年も休まずずっと続けていましたが、なってしまったようです。診察を受けた先生からは、加齢でしょうね、と言われたそうです。
テニス肘の判断方法
テニスやゴルフの場合だと、スィングしたりストロークしたりする際に、肘に強い痛みが生じます。
しかし、日常生活の中でも、雑巾やタオルを絞る動作やドアノブを握って回す場合などでも痛みが出ます。悪化してくると日常のちょっとした動作でも痛みが出るようです。
以上の場面で痛みがある場合は、テニス肘である疑いがありますが、テニス肘かどうかの確認方法として「チェアテスト」というものがあります。それは、椅子の背もたれ部分を、腕を伸ばした状態で上から掴み、そのまま持ち上げようとして強い痛みがあるかどうかのテストです。
手の平を上に向けた状態で重量のあるものを持ち上げてもさほど痛みません。手の平を「下」に向けた状態で掴んで痛むかというのがポイントです。
治療および対処法
このような痛みがある場合は、まずは病院で診てもらうことがベターです。と言いながら、自分の場合、しばらく様子を見ていました。そのうち治るだろうとタカを括っていました。しかし全然改善しません。それどころかだんだん悪化してきたので、渋々と整形外科に行くことにしました。案の定テニス肘でした。
病院ではまずレントゲン撮影をし、その画像を見ながらの問診を受けました。レントゲン画像ではどこが患部かは識別できません。しかし先生は、まさに自分の肘の痛い個所を「ここでしょ」と、ピンポイントで指しました。専門家ですから当然でしょうが、びっくりしました。
自分の場合は比較的軽いとのことで、取りあえず消炎鎮痛剤の塗布とストレッチ体操により改善を目指して行こうということになりました。
消炎鎮痛剤
スミルスチックと言う塗り薬を処方されました。よくある消炎鎮痛効果のあるスティックタイプの塗り薬です。もしかしたら市販されていないのかもしれません。消炎鎮痛効果のあるものであれば、だいたいOKなようです。
これを1日数回塗布します。
ストレッチ
次はストレッチですが、ストレッチには2種類あり、2つを交互にやるよう勧められました。
ストレッチその1
肩の高さで痛い方の腕を前方に伸ばします。
手の平を下にむけた状態にします。反対の手で、痛い方の手の甲を下向きにグッと抑えます。手首から下に90度曲げた状態です。すると前腕の筋肉が伸びて張りを感じます。この状態で15秒伸ばします。
ストレッチその2
痛肩の高さで痛い方の腕を前方に伸ばします。
今度は手の平を上に向けた状態にします。反対の手で、痛い方の手の指先を下向きに抑えます。「その1」とは逆向きですが手首から下に90度曲げた状態になります。すると前腕の一部の筋肉が伸ばされて張りを感じると思います。この状態で15秒伸ばします。
これら2つのストレッチ3回を1セットとし、少なくとも1日3セットやるよう言われました。
もっとやってもいいとのことだったので、自分は1日5~6セットやりました。
テニス肘ストレッチは上腕骨外側上顆に付着する筋を伸ばすための運動です。痛みを和らげる効果がありますが、改善したあとの再発を防止する効果があるとのことです。
ストレッチをやってみたが…
診察をしてくれた医師からは、治るまで時間がかかるだろうと言われました。ストレッチをしっかりやることも大事ですが、安静にすることも大事だとも言われました。軽いゴルフ練習もだめかと聞いてみましたが、NGとのこと。トホホです。
クスリとストレッチを2か月ぐらい続けましたが、治ってきたのかなぁと思っても、やっぱり痛かったり、なかなか治る気配がありませんでした。
安静が重要
実際、テニス肘は治りにくいと言われているようです。ではなぜ改善しにくいのでしょうか。
自分が思うに生活習慣が関係しているのだと思います。つまり日常の生活の中でつい痛い方の腕を使ってしまうのが良くないのだと思うのです。
じゃあどうすればいいのか、それは痛い方の腕を「極力使わないようにする」ということに尽きると思います。(もちろん字を書いたり食事をしたりなど力を伴わない動作はOKです)
重いものを持ったりは勿論ですが、一番うっかりやってしまうのが、「タオル絞り」と「ドアノブ回し」です。これらは長年の習慣でやってしまうのですが、意識すれば段々避けられるようになります。
「極力使わない」作戦にしてから、少しずつ改善していきました。
そして、発症から約10か月で、ほぼ完治しました。ストレッチを続けたのもいいのですが、やはり、日常生活において安静を意識したことが良かったのだと思います。
ステロイド注射
行きつけの床屋さんは、発症してから1年以上経ちますがまだ治りません。職業柄利き手を使わないわけにはいかないですからね。そういう意味では、原因が職業という場合はツライです。本人は半ばあきらめています。
そういう場合には、ステロイド注射による治療という方法もあるようです。
痛みのある部分に直接ステロイド注射することで、翌日には痛みがかなり改善し、1~2ヵ月程度は鎮痛効果が持続するとのことです。その間に、温熱療法やストレッチなどを並行して行い症状改善を目指すことになります。しかし短期的には非常に効果を発揮するものの、症状が再燃するケースもあるとのことで、医師と十分相談する必要があります。
まとめ
・テニス肘は、スポーツや職業における腕の酷使が原因。加齢も影響する。
・テニス肘かどうかの確認は、チェアテストで行える。
・消炎鎮痛剤の塗布とストレッチで改善を図る。
・タオル絞りやドアノブ回しを回避するなど、日常生活での安静を意識する。